こじらせ女子の恋愛事情
「お疲れ様、和久くん」

声をかけられた松坂くんは嬉しそうに笑った。

「おっ、売れてますね」

平積みされている私の新刊を見ながら、松坂くんが言った。

資料室での告白に返事をしたその日、私は会社の帰りにハワイアンカフェに松坂くんを呼び出して、浜崎じゅんとして活動していることを打ち明けた。

打ち明けられた松坂くんは最初は驚いたけれど、
「これは俺と浜崎さんの秘密ですね。

浜崎さん、すごいですよ。

これからも頑張ってください」
と、笑顔で私の秘密を受け入れてくれたのだった。

「俺も貢献のために1冊買っていいですか?」

そう言って手に取ろうとした松坂くんに、
「そんなことをしなくても、見本誌をあげるわ」

私は言った。
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