【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
こんな自分も相手も傷つけるような私はもう嫌だ。だけど、このままの私は蒼次郎との関係を私からどうこうしようともしない。良好にする事も、別れを告げる事さえも。


……変わりたい。変わり映えしない世界に踏み止まる自分を捨てて、自由な世界に踏み出したい。


そうすることで、私も、蒼次郎との関係も変われる気がするから。


電話を切ってすぐに、机に買ってきた履歴書と写真を引っ張り出す。


タクや、零さんがくれた踏み出すきっかけを、私は無駄にしたくない。無駄にしてしまっては、私はずるずるそうした味気の無い大人になって行くしかないのだから。


どうなるかは分からないけど、私は出来ることをするだけ。そうしているうちに少しでも、変わることが出来ればいいじゃないか。


もやのかかった所にずっといたって先の景色を見る事は一生無い。足掻いて、もがいて、見えなかった景色を見る努力を始めないといけない時期に私はいる。


だって私は、子供だけど子供のままじゃいられない、中途半端な所に立っているから。
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