君の隣
「……ねぇ理名。

 このままずっと、言わないで隠し通すつもり?

 彼は、あなたを子どもを産める女として好きになったわけじゃないはずよ。

 ちゃんと、ひとりの女性として、理名を見てた。

 ……高校時代から、ずっとよ」

 「……でも、拓実の周囲には、健康で、子どもが産める女のひと、たくさんいるし」

 「それでも、よ。

 拓実くん自身が、世界中でただ、一人の“岩崎理名”を選んだんでしょう?」

 あの言葉。
 理名を追い詰めるための材料にしかならなかったのか。

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