君の隣
深月は目線だけで、カンファレンス室を示した。

彼女の背中に、ついていった。

ドアを閉めた、瞬間。

誰もいない部屋に、パン、と乾いた音が響いた。

深月の右手が、拓実の左頬を平手打ちしたのだった。

「理名をあんな目に合わせて……!
恋人失格よ!

理名本人と向き合おうとせずに、私や薬剤師の真奈美、朱音さんに。

 間接的に聞き込みをしていたわね。

見損なったわ。

あなたは、どんなことにでも向き合う強さを持った人間だと思っていたのに。

まぁ、拓実くんに話すことから逃げていた理名も、同罪ね」

 深月は、一瞬言葉を切って、週間前の理名の様子を思い浮かべた。

 
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