君の隣
「俺は、お前がどんな姿でも――
 泣いてても、怒ってても隣にいる。

 子どもがいようがいまいが――一緒にいたいと思ってる。

 お前が苦しんでるのに、俺は何も気づけなかった。

 お前のそばにいる“ふり”だけして、踏み込めてなかった。

 理名を守るつもりで、実はずっと、理名と距離を置いてたのかもしれない」

「そんなこと……」

「そうだよ。

 俺は、お前の痛みを“知らないままでいた方が楽”だと思ってたんだ。

 弱さや悩みをちゃんと受け止めようとしてなかった。

 それじゃ、理名にとっても、俺はただそばにいるだけの置物だよな。

 ちゃんと、気持ちは正直に言わないと、って。
 俺がドイツにいて、理名が日本にいる間。
 気持ちの伝え方、学んだはず、だったんだけど」

ひと呼吸置いた拓実。

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