君の隣

覚悟のプロポーズ

「……ごめんね。

 黙ってて」

「どうして、俺にだけ……話してくれなかった?」

低く、苦しげに問う拓実の声に、理名は唇を噛みしめた。

 感情が喉につかえて、思うように言葉が出てこない。

「だって……」

振り向いた彼女の目は、泣き腫らしたように赤い。

「不妊治療をしてるなんて、子宮筋腫があるなんて……

 もし子どもが産めない体だったらって、そう思ったら……

 貴方が離れていくと思ったから。

 拓実のこと、失いたくなかったの」

涙が頬を伝い落ちる。

その表情には、怯えと共に、長く抑えてきた本音の切実さがあった。

「ずっと優しくしてくれて、そばにいてくれて……

 でも、それが怖かったの。

あなたの優しさに、甘えることを覚えちゃうと、あなたに依存しちゃう。
 そう思った。

 だから、私……」

理名の声が震える。

「本音を言えない関係なんて、本物じゃないのに……

 でも、怖くて。

 話すことを、放棄してた。

 拓実に言ったら、嫌いになっちゃう、って思ったの」

その言葉に、拓実もまた、感情を押し殺せなくなっていた。

「バカだな、お前は……」

そっとまだ青白い理名の手を握る。

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