恋がしたい。ただ恋がしたい。
「……という訳で長年の恋が実って、可愛い可愛い恋人が今僕の隣にいるんだから、手を繋いで話をしてのんびり歩くだけで我慢できる訳がないでしょ。香織ちゃんは、家まで僕の理性が持つように無事を祈っててね。……まぁ、どこで限界がキテも大丈夫なように、いつも用意だけはしてるけど。」
そうにっこりと笑って言いながら、裕介くんはズボンのポケットをぽん、と叩いた。
意味する事が分かった後で、こうして私が真っ赤になるのだって、きっと分かっててわざと口に出してからかってるんだろうと思う。
「『王子』がそんな事言ってもいいの?」
小さな私の抗議も、「『王子』だって、城を離れて好きな子の隣にいたら、ただのオトコになるんです。」とサラッと流されてしまった。
そのちょっとだけ可愛らしい言い方に思わずふふっ……と微笑むと、同じタイミングで微笑みが返ってきた。
同じ感覚。確かにこの人とは心が繋がっているんだと言う安心感で、心が満たされていく。
「……だからさ、その目が反則なんだって。とりあえず、今日は寝かせないから覚悟しといてね。」
今度は色気たっぷりに微笑んで、指を絡めるように手を繋ぎ直してマンションまでの道を二人で寄り添って歩いて行く。
私だって、早く帰りたい。可愛いげが無くて、意地っ張りで、恥ずかしがりやの私も、二人っきりならちょっとだけ素直で可愛い女になれるかもしれない。
早く『好きだよ』って伝えたい。
伝えるだけじゃ、言葉だけじゃ足りないから、
私を見て欲しいし、向き合って欲しい。
触れたくて……触れて欲しくて、あなたの形を確かめたくて、いつまでも覚えていたいから、たくさんたくさん愛し合いたい。