恋がしたい。ただ恋がしたい。
何か間にある大事な行程を、2つ3つすっ飛ばしたとしか思えない。
「俺…結婚することにした。」
「えっ?誰と?…私とじゃないの?!あなたの彼女は私でしょ!!」
なーんていう会話とか、その後に訪れるはずのドロッドロの修羅場とか。
恋愛の終わりに繰り広げられるはずのそんなアレコレに、私は向き合う権利すら与えられなかった。
何だろうこの消化不良な感じ。
天ぷらとスイカ一緒に食べちゃったみたいな。
鰻に梅肉塗りたくって頭からガツガツいった、みたいな。
…あぁ、最悪。
享とは真剣に付き合ってきたつもりだった。
じゃなかったら20代の後半に二年近くも付き合うはずがない。…こんなことになるまでは、結婚だって意識していたんだから。
今の私は、30歳を目前にして捨てられてしまった可愛そうな女だ…。
そんな私の様子を見て、目の前の親友はため息をついた。
「しかしそんな最低な男が学校のセンセーだなんて世も末だね。教わる子どもが可哀想。」
大学の同級生だった私達は、学校は違うけど小学校の先生をしている。
「それで?その最低男を責めもしないで香織は帰って来たのね。」
信じらんない!とじとっとした目線で責められる。