恋がしたい。ただ恋がしたい。
「だって同級生みんながいたんだよ?!みんな『おめでとう』って言ってるんだよ!言い出せる訳ないでしょ!」
「私だったら出来るよ。誰が見ていてもね。」
そうきっぱりと言い切った彼女、葉山 紫(はやま ゆかり)は高校の時の同級生で親友だ。
紫はここ、地元の羽浦(はうら)市の市内で美容師として働いている。
さらさらのストレートボブの黒髪、切れ長でアーモンド形の瞳、マシュマロのように色白な肌、イチゴのように紅く艶のある唇…
なんだか美味しそうなパーツばっかり持っている彼女は派手ではないけれど、清楚で人目を引く美人な顔立ちだ。
おしとやかそうに見えるけど実は自分の意見をしっかりと持っていて、芯も強い。
曲がったことが大嫌いな彼女は、確かに私と同じ立場になってもその場ですぐに
『はぁー?!!あんた何言ってんの?!正気か?!!!!!』
なんて言いながら、胸ぐら掴んで詰め寄るぐらいのことはやってのけるだろう。
「まぁその彼氏も…付き合いだけは長かったから香織のことを変によく分かってるよね。」
「普通に別れ話を持ち出すより、そうやってみんなの前で既成事実を見せつけたら何も言い出せないで別れを受け入れることも…たぶん計算済でしょ?」