小さな恋のメロディ
中津万里奈は、花束を置いて帰って行った。


「ごめん、遅くなって。おじさん達、車で待ってるから僕たちも行こうか?」

「うん」



そして私達は兵庫を離れた。

何でこの街に来たんだろう?

中津万里奈が言ってた”大切な物”って、何なんだろう?


私は辛い記憶と一緒に”大切な物”も無くしてしまったんだと思った。

でも私は要らない。
だって、今の私には必要のない物でしょ?

だって私は”それ”が無くても、普通に生活が送れるんだから。



何も知らなくてもいいよね?

そして家に着くと母親が言った。


「今日はもう休みなさい」

「うん」


私は中津さんに貰った花を、花瓶に移そうとした。
その時、一通の手紙が目に入った。


手紙…?


中を見ると……


”守ってやれなくてごめんな
     哲平      ”


何となく、寂しい字だと感じた。

私は何故か捨てられなくて、机の引き出しにそっと閉まった。


”哲平”


どんな人だったんだろう?

ーズキッ


頭が痛い…。
私の身体が記憶を拒否する。



思い出してはいけないと……

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