小さな恋のメロディ

胸の奥

翌朝パパが言った。


「大学は一年休学にしているから、暫くゆっくりしなさい」

「大学?」

「あぁ。今から行っても単位は取れないだろ?まだ一回も出席してないんだから」

「ふ~ん…」

「鳴海君もお前の付き添いで、暫く会社を休んでたから忙しいみたいだし、お前は家でのんびりしてたらいい」

「うん…」


それから、家にいる毎日が始まった。

家にいるのは退屈で仕方ない。

私はふと散歩に出る。


適当に歩いていると、小さな空き地があって、私は何故か立ち止ってしまった。


体は空き地の方へと向かう。座れそうな場所を探して、腰を下ろすと……

何故か落ち着いた。


身体が覚えているこの感覚…。



私は以前、ここに来た事があるの?




「ただいま」

「お帰り。どこに行ってたの?」

「散歩…」

「まだ身体も本調子じゃないんだから、余り無理しないのよ?」

「うん」


でも私の体は何故か毎日その空地に向かった。


誰がいる訳もなく、
何かある訳じゃなく、
何もない小さな空き地に毎日通う。


そんな時、ある男と出会った…。

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