好きも嫌いも冷静に


「相手の事どのくらい好きかも勿論大事だよ。
だけど、それよりも、相手と居る自分が、繕ったりせず、本来の自分で居られるかどうか、結婚して一緒に居るって、その部分が大事な気がして。
自分に無いもので、頑張って頑張って暮らしても、どこか無理に成るし、いつか疲れるよな。
…ありのままで、この人と居たら、年取った二人の未来が想像出来る、そんな自然でいられる人に巡り会いたいよ…」

「自分が自分で居られるって、いいよな。
理想だよ。
いい出会いがあるといいな…」

「まあ、まだその時期でも無いのか、それとも俺には永遠に縁が無いのか…、解んないが、無いな、今のところ」

「向こうから来るものはダメなの?自分からじゃないとダメ?」

「う〜ん…。出来たら自分の心が反応しての方がいい。あくまで理想だよ?…考え過ぎるとよく解らなくなるけど。相手に言われてからだと、そこから意識させられて、自分の本当の気持ちが解らなくなるんだ。
絶対って訳じゃないけど。いい子だなと思ってたら、自分から先じゃ無くても、言われたら好きになるな、多分」

「やっぱり、自分の気持ちは大事よ。なんとなくいいかで流されたくないもんね」

「そんな感じだな」

「ねえ、伊織はいつ断るの?」

「ああ、明日、上司を通して断りを入れる」

「…そう。じゃあ、その後って事に成りそうね。
ズルイけど…、少し弱ってる環さんを狙うよ。
…それでも、相手にされないだろうけど。
“恋"は時には、駆け引きもタイミングも必要だからね。
俺は恋愛がしたいんだ」
< 33 / 159 >

この作品をシェア

pagetop