好きも嫌いも冷静に
思わぬ進展

・これもデートなのか


良かったな、英雄。…15年、くらいか…。
思春期から思い続けた英雄の恋心。
俺は焦がれるような思いをしたことがないから、英雄の切なさ、同じようには感じられてないだろう。

いくら近くにいて見守る事が出来ていたとしても、届かない思いに、おかしくなりそうな日だってあったはずだ。…自分とは違う人と一緒に居るところだって何度も見たこともあるだろう。
それは大人になる程、もどかしさが増すような気がする。色んな事が解ってくるから。切なかっただろうな…。
好きな人がもし違う誰かを選んだのなら、気持ちは閉じ込める。幸せを祈りながら…な。
大人の、好きになる、とは、冷静でないとダメなのか…。
よく聞く、恋と愛は違うという事か…。
直面しないと、想像だけでは実際の心の動きは解らない。冷静ってなんだ。
頭で考えるように、心も素直に従ってくれるものだろうか…。
興味深くて、答えの解らないモノ…。


何だかアパートの辺り、どうしたんだ…。
お巡りさんが居るじゃないか。
大家さんと話している。何かあったのは間違いない。走り出していた。
近くに駆け寄って声を掛けた。

「大家さん、どうしたんです?」

「あ、美作さん。空き巣です」

「ええ?空き巣?それで…大丈夫だったんですか?被害は?」

「あ、うちじゃないんです。大丈夫です、それは安心してください。すぐ近くの家で被害があったようで。それでお巡りさんがパトロールに」

「そうですか。ご苦労様です」

ここではなかったことに安心はしても被害に遭った人が居る、そう思うと…。

「戸締まりに気をつけて頂いて、空き巣犯の人物の特定がまだ出来ていないのですが、不審な人物を見掛けましたら、間違いになっても構いませんので、ご連絡お願いします。
それでは、私はこれで失礼致します」
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