最後の賭け

 リビングの扉を開けると、予想外の光景が目に飛び込んできた。

「どうしたの? これ……」

 真依子は薄暗いリビングに目を凝らす。

 たくさんのキャンドルが並んでいた。

 赤や青、黄色、色々な色のキャンドルが、テーブルやカウンターの上、テレビのサイドボードにも。

 そもそもこんなたくさんのキャンドルが点いているのを見るのは初めてで、真依子は驚いて動けなかった。

「ソファーに座って」

 ユウジに促されて、ようやく我に返る。

「どうしたの、これ」

 もう一度聞くと、それには答えずに、ユウジはにこっと笑ってキッチンへ行くと、缶ビールと烏龍茶の缶を二つ持ってきた。もちろんビールは真依子が好きな銘柄だ。

 ソファーの隣に座り、ユウジは言った。

「お祝いが缶ビールなんて、ダメだったかな」

「お祝い?」

 さっきから何が何だか分からない。
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