最後の賭け
「真依子さん、もしかして今度の有給、彼氏と温泉デートですか」

 案の定、コイツは予想通りの反応をしてくれる。

 咳払いを一つして「お土産買ってくるから、マネージャーには余計なこと言わないでよ」と睨みを聞かせた。

「そんな野暮なこと言わないですよお」

 彼女はそう言うと、ニヤニヤしながらドアを閉めた。

 職場で広げたのは迂闊だった。浮かれ過ぎな自分に少し呆れそうになる。

「温泉ね――」

 高原の温泉も悪くないのかもしれない。その前にダイエットをしなくちゃ。

そう思ったものの、痩せたら痩せたで、またユウジに見透かされてからかわれそうな気がした。
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