Rain
気が付くと私は美術準備室の前にいた


さっき学校を出たのに、また戻ってきたのだ


準備室のドアを開けると、中にいた先生は驚いたように言った

「…本條?……帰ったんじゃなかったのか?」

それも、その筈だ

さっき、学校を出る直前まで、この美術準備室で、他の誰でもない先生と一緒に美術委員の仕事をしていたのだから
そして、仕事が終わって「さよなら」と挨拶をして準備室を後にしたのだから


私はそんな先生に小さく笑いながら言った

「…先生……私……愛実達に受け入れて貰えなかった……キモいって、そういうの求めてないって、愛実が今まで私と仲良くしてたのは、ただ単に利用出来るからだって、三沢の事も本当に好きじゃなかったって、それで…………バイバイって…………」

もう自分でも何を言ってるか分からなくなってきた

でも、私の目からは、さっきから止めどなく涙が流れ続けた―――




受け入れて貰えなかった事に対しての




悲しさと悔しさ




2つの感情が複雑に入り交じっての涙だった―――




―――先生に泣き顔なんて見せたくないのに…




―――先生の前ではいつも、自分の中で一番最高の笑顔でいたいのに…




―――頭では、そう願うのに、私の涙が止まってくれる事は無かった…
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