Rain
美雨の想い、雪平の想い
「…それから俺は、北海道の美術の専門学校で働き始めた。
でも、そこでの契約期間が切れて、次の就職先を探してる時に、例の懇意にしてくれてた先生の紹介で、母校の産休に入った教師の代わりの美術教師を募集してるって事を知って、5年ぶりにこっちに帰ってきたって訳」

「…正直、最初は“大丈夫か?”と思ったよ。
けど、あれから5年以上も経ってるし、俺も多少は大人になったし、もう美雨との事もちゃんと思い出に出来る位の時間は経っただろうって思って」

そう言い終わると、先生はまたドリンクホルダーのコーヒーを一口すすった






…私は泣いていた

涙を拭っても拭っても、次から次へと溢れ出してきて止まらない

悲しい
悲しすぎる……

そんな辛い思い出を背負いながら、先生は笑ってたの?

あの悲しい笑顔で?

だとしたら、先生は、何て強くて………そして


何て悲しいんだろう―――
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