キミに捧ぐ愛


愛されて育って来たくせに。


そんな思いが心のどこかにあったんだと思う。


広大を見ていると、無性に腹が立って仕方なかった。


あんたは甘えてるだけじゃん。



「なんでこんなことすんの?何が気に入らないの!?」



あたしは泣き崩れる母親の横を通って、物を投げ付けている広大の目の前に立った。



「ねーちゃんには関係ねーだろ!」



広大はギリッと唇を噛み締め、あたしを睨み付けながら暴言を吐く。


つい数ヶ月前までのあどけなさは一切見当たらない。


なにがここまで広大を変えてしまったの?


何かに苦しんでいるような、怒り交じりの切なげな瞳。


目の前に立つとあたしよりも背が高いから、歯向かってこられたらひとたまりもない。


だけど、広大はじっとしたまま動こうとしなかった。



「お願いだから、もうやめて。言いたいことがあるなら、力で解決するんじゃなくて口で言いなよ」



大事にされてるんだから、話せばわかってくれるよ。


あんたは恵まれてるんだから。


だって……あたしとは違って愛されてるじゃん。


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