キミに捧ぐ愛
いつも思うけど、ヒロトって見かけによらず強引というか。
思い立ったらすぐ行動に移せるのはすごいと思うけど、少しはあたしの状況も察してよ。
カバンの中にお財布が入ってるんだってば。
グイグイ引っ張られる中、そんなことを思っているとーー。
「勉強のお礼に奢るから」
まるで心の内を読まれたかのように、タイミングよく声が飛んで来た。
見上げた横顔は、なんだか機嫌がよさそうだ。
ほんとにコロコロ表情が変わる人だな。
「やった、ありがとう」
「こっちこそ、いつもありがとな」
「いえいえ」
掴みどころがないけど、ヒロトはやっぱり人のことをよく見てる。
よく見て、欲しい時に欲しい言葉をくれる。
安心させてくれる。
だから一緒にいて落ち着くのかな。
「ヒロトって何人兄弟?」
「なんだよ、いきなり」
「いや、なんか妹とかいそうだなぁって。面倒見よさそうだし」
「残念、姉ちゃんしかいない。けど10個も上だから、あんま仲良くないけど」
ヒロトはちゃんと答えてくれた。
聞かれたくないことは曖昧に交わされるけど、兄弟ネタは大丈夫だったらしい。
他愛ない会話を続けながら繁華街の中を歩く。
賑やかなこの空間がやけに心地よくて、なんだかとても落ち着いた。