オフィス・ラブ #∞【SS集】
二人掛けのソファなので、肩が触れる。

というか完全に密着だ。

新庄さんの視線が痛い。


大塚さんは気づいていないようで、何飲んでるの? と俺のグラスをのぞきこんだ。

あれ、思ったほどうまく立ち回ってないよ、気を許した場だとダメなのかな。


髪をゆるく巻いて、横にルーズにまとめているのが、色っぽい。

ホルターネックの黒いドレスが最高に似合ってて、パーティメイクも趣味がいい。


新庄さんの視線が痛い。



「ジンフィズです」

「私もそれにしよう」

「あたし、もらってくるよ。他の人は?」



全員が、今と同じものを、と言ったのにうなずき、石本さんは足取り軽くカウンターへと向かった。



「新庄さん、私、松阪牛当てちゃいました。今度、食べましょう」

「じゃあ、大阪のほうに送ってもらえよ」



優しく微笑みつつも、俺にけん制するような視線を送るのは忘れない。

堤さんがそれを見て、笑いを隠すように煙草を口に持っていった。


大塚さんは、春野菜でしゃぶしゃぶでしょうか、とか機嫌よく話している。

俺は話題を変えようと、堤さんに向き直った。



「あのゲーム、面白いですね。誰がつくったんですか」

「仕組みだけ考えて、知り合いのプログラマに組んでもらったんだよ」

「よくできてるよな。データテーブルさえ作っておけば、無限にヒントが生成できる」

「三ツ谷くんも当てたんだよね、何もらったの」



大塚さんが、テーブルの奥に置いていた目録に、俺の身体越しに手を伸ばす。

せっかく話題を変えた意味が消えちゃった。

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