オフィス・ラブ #∞【SS集】
「面白いですよ、企画時代に営業について、なんでだよって思っていたことが」
「向こうに行くと、こりゃ仕方ないと思ってみたり」
「そう、果たして自分はどういう立場からどうすりあわせていくのが正解なのかなって、いつも考えます」
「企画出身の営業員て、いそうでいないんだよね」
それも意外でした、とかつての部下が笑う。
会社帰りにたまたまエントランスで見かけて、そうだ、最近はどうしてるんだろうと気になって誘ってみた。
堤に初めて会ったのは、大森が営業部から企画部へ移った時のことで。
当時はまだマネージャーにはなっておらず、その下の階級で、ポジションとしては堤の直属の上司のような位置にいた。
前任者から、部署のメンバーのだいたいの印象を聞いた時、堤に関してはやけに辛口の評をもらった。
「仕事はできるけど、いったい何をモチベーションとしているのかわからなくて、僕は扱いかねたな」
他人の印象なんて人それぞれなので、話半分に、ふうんとそれを聞き。
しばらく一緒に仕事をしてみて、ああなるほど、と納得した。
こりゃ、わかりにくい。
彼は、非常にひねくれていて。
けれど、ひねくれているものと前提してしまえば、こんなに正直で読みやすい奴はいないに違いなかった。
要するに、まっすぐにひねくれているのだ。
好きなものは冷徹に眺め、嫌いなものも冷徹に眺める。
やりたそうな仕事は率先して行い、やりたくなさそうな仕事も、率先して行う。
努力家のくせに勤勉を嫌い、集中力がなさそうに見せて、一瞬のうちに仕事を終えている。