オフィス・ラブ #∞【SS集】
くっそ。

ふたりは隅のテーブルで顔をつきあわせ、何やら低い声で話を始める。


敵じゃないよ。

そんなの、俺だって自覚してる。


とにかく、見てればわかる。

チーム全体が、相当優秀な人が集められてるってのを肌で感じる中で、その中にいてさえ目立って仕事量をこなす、半端でない処理能力。

広告にもマーケティングにも知識が広く、それを人に与えることを惜しまない。

ワンマンに見えて、その実、チームプレイでこそ本領を発揮する。


仏頂面の堅物かと思いきや、話してみると、意外と気さくで、面白い。


こんな人。

ファンになる以外、どうしろっていうの。





「えっ、ほんとに新庄さんのチームに入ったの?」

「聞いてなかったんですか」

「新庄さんは仕事の話、自分からはしないから」



エントランスでつかまえた大塚さんは、少し恥ずかしそうにそう言う。

なんというか、職場の人に彼氏を見られたような、そんな気分なんだろうか。



「勝てる気がしません」



正直にそう言うと、屈託なく笑う。



「そうでしょ」



嬉しそうに、照れながら。

なんかもう、両方に共感できて、自分の立ち位置がわからなくなってきた。



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