オフィス・ラブ #∞【SS集】
大講堂の、階段状の座席の真ん中で、教授が喋っている。
授業でマイクを使うなんて、最初はびっくりしたけど、もう慣れた。
手帳を開いて、また眺める。
あたしは、なおちゃんって、一回呼んでもらったから。
もしかしたら、お姉ちゃんに勝ってる。
つまんないことかもしれないけど、あたしがお姉ちゃんに勝てることって、そうそうない。
だからこのくらい、いいと思う。
「今日、飲み会あるの、奈保も来ない?」
かっこいい子、いるよ、とクラスメイトが誘ってくれる。
どうしようかなあ、と思ったけれど、特に予定もないので、行くことにした。
だけどきっと。
あの人よりかっこいい人なんて、いない。
どのみち、新庄さんはお姉ちゃんのものだから、いいんだけど。
車の中のふたりは、見てるこっちが恥ずかしくなるくらい、お互いを好きなのがバレバレで。
いいなあ、と思った。