嘘と本音と建前と。
学年ごとに違うと識別のし易さからこういうことが多々ある。


司は母の気まぐれでお弁当を持参したり、購買用のワンコインを

渡されたりするから慣れているが空知は違う。


空知は母の手作り弁当を毎日持参するから一度も購買に行ったことがない。


変に真面目な空知は先輩の行動に注意がしたい様子でうずうずとしている。


こんなところで面倒を起こされるのは御免な司はそれだけは阻止したかった。


「せっかく来たけど今度でいいや。あの子の名前がハッキリしたら

奢って。」


出世払いとは違うが功績が出てからでいいや、と校舎の方へ歩き始める。


「え。」


何か言いたそうな声を出した空知だが司がそう思うならと


黙ったまま後ろについてきた。


お目当てなのは缶コーヒーだ。


缶コーヒーなんて買う人は滅多といない。


みんなパックのミルクティーやら、季節限定のミックスジュース、

缶ならカルピスソーダやファンタグレープが基本だ。

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