恋する僕らのひみつ。



教室の隅で湊と何度もキスを重ねていると、湊が突然あたしの体を離した。



「湊……?」



「……これ以上は、やべぇから」



「え?あ……部活行かなきゃだよね?」



「いや、じゃなくて……」



「え?」



「何でもねぇよ」



湊はあたしの頭の上にポンと手を置いた。



まだ離れたくない。

もう少し一緒にいたい。



もうわがままになってる。



あとでまた家で会えるのに、まだ湊と一緒にいたい。



「ねぇ、湊も言ってよ」



「なにを?」



「好きって」



「は?やだよ」



「ちょっ、やだってなに!?こんだけキスしといてっ」



「うるせーな」



「言ってよ!」



「やだ」



「言ってってば」



「黙れよ」



湊は、あたしの唇をキスで塞いだ。



「んっ……」



言葉は冷たくても、キスは甘くて優しい……。



唇がそっと離れると、湊はあたしをぎゅっと抱きしめた。



「ちょっと……キスでごまかさないでくれる?」



どうしても言わせたい。



「もぉ言ってよ。あたしのこと好き?」



だってまだ、湊の口からは一度も好きって聞いてないから。



「ねぇ、好き?」



「どーだろ」



「ひどっ!好きじゃないのに、キスしたわけ?」



あたしは湊の体を離して、頬をプクッと膨らませる。



「部活行くわ、俺」



「あ~逃げるんだぁ。好きって言ってくれないなんて。本当はあたしのことなんて……」



すねたフリをしたら、言ってくれるかな。



「わかったよ、うるせーな」



あたしは目をパッと輝かせて、湊の瞳をジッと見つめる。



「好きっつーか……おまえのこと……」



目を伏せた湊はあたしの手を取ると、静かにつぶやいた。



「愛してる」



え?



「……っぽい」



「“愛してるっぽい”って、なに?ちゃんと言ってよ」



「言っただろ、バーカ」
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