奏で桜
「それ…本気で言っているの?」


「勿論です。
冗談でこのような事は仰いません。

…今日まで準備はしてきました。
あとはお嬢様の意志次第で
ございます。」


僕が言葉を述べていくと、
彼女もまた、少し間をおき、
小さく溜息を吐き、こう話し始めた。



「…それじゃあ、
聞き方を変えるわね。
あなた、〝そんなこと〟をして
どうなるかわかっているの?

まず、冗談抜きで殺されるわよ。
わたしはともかく…ね。

それに、前にも言ったでしょう?
私達、吸血鬼が外に出ても
何の力も持たないって。
むしろ、ただの足手まといになる
可能性だってあるのよ。

それなのに、行くの?
〝わたし〟と〝あなた〟の
二人だけで?


…無理よ。
そんなの無理に決まっているわ。」


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