奏で桜

5

「え…、今…なんて?」


いつかの〝暗闇〟と同じような夜。


やはり場所は彼女の寝室であり、
彼女は、たった今もらった言葉が
信じられないような様子を見せ、
また、目を見開いた。

僕は少し間をおいてまた同じ言葉を
同じトーンで繰り返す。




〝外の世界に行きませんか?〟…と。






再び言葉を繰り返しても、
彼女の表情は相変わらず、
僕を疑っていた。

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