イケメン御曹司に独占されてます
七海子はどこかと周囲を見渡すと、フロアの中ほどに七海子と専務、それに拓哉さんと加奈子さんが年配の人たちを囲んで談笑しているのが見えた。
拓哉さんの腕に細い手を添えて、幸せそうに微笑んでいる加奈子さん。
拓哉さんだっていつもの王子様スマイルを絶やさず、とても紳士的に振舞っていて……。一目見ただけで、育ちの良さが分かるふたりだ。
こうやって見てみると、拓哉さんと加奈子さんは本当にお似合いの美男美女で、ふたりが婚約していることはごく自然なことに思える。
本当に素敵で憧れるふたりだけど、ちょっとだけ切ない気分になった。
さっき池永さんのせいで聞きそびれたけど、拓哉さんがターくんだということは、ほぼ確定な気がする。
王子様は、やっぱり現実にはいないんだね……。
ずっと憧れ続けた思い出の中の王子様。
けれど、その現実の王子様である拓哉さんが、加奈子さんと幸せそうに並んでいることに、不思議と悲しみは感じなかった。
それどころか自分までも幸せな気分で満たされる。
やっぱり、ターくんは王子様。
王子様はお姫様と結ばれるんだ……。
その時、甘く切ない思い出に満たされていた私の目の前に、突然複数の人影が現れた。
見ると見知ら女性が三人、私の前に立ちはだかっている。
皆、敵意に満ちたとても怖い顔をしている。
現実から遠く離れたところで彷徨っていた心が、急に冷たい何かで覆われた。何だろう、この人たち。なんか怖い……。