イケメン御曹司に独占されてます
池永秀明、今年四年目の二十七歳。入社以来第三営業部で業績を上げ、今では部内トップの営業部の星。
眼鏡で隠していても分かる端正な顔立ちと完璧なスタイルで女子社員の人気の的だが、クールな性格のため近づく隙を与えない。
そのソツのない対応と群を抜いた判断力でメーカー、取引先の信頼も厚い。
そして——本命の彼女は、西連寺加奈子との、もっぱらの噂。
応接のドアが音も無く閉まると、ふぅっと溜息をついて七海子を見つめる。
「どうしたの?」
口の中で溶ける、雪のようなホワイトチョコ。綺麗にネイルが施された指先を舐めながら、七海子が私を不思議そうに見る。
「いや、別世界だな、と思って」
「何が?」
「んー、まぁ、色々と」
恋も仕事も、なんて今の私には程遠い。
だから今は、与えられたこの営業三部での仕事を、一日も早く自分のものにするだけだ。
それに——。
「萌愛?」
七海子が少し心配そうに微笑む。
優しい優しい、美しい微笑み。
「うん。大丈夫だよ。私、頑張れる」
だって、私にだって王子様がいるから——。
心の中に。
誰にも負けない、私だけの王子様が。