イケメン御曹司に独占されてます
「おいで」


そう言いながら更に引き寄せられて、腕の中に閉じ込められる。
愛しげに髪に手を差し入れて、触れるように繰り返されるキス。
優しくて、何もかもが蕩けてしまう。
いつの間にか池永さんに触れている自分の手が、背中や腕や、柔らかな髪に絡みつく。


「俺が欲しい?」


唇を僅かに離した池永さんが、目を細めて悪戯っぽく聞いた。


「俺は萌愛が欲しくて欲しくて、堪らない」


両手で頬を包まれて。逸らせない、焦がれていた硝子の瞳。


「大体、最初にプロポーズしてきたのは萌愛の方なんだから、もっと積極的に愛して欲しいもんだ」


「プロポーズだなんて、私……」


「しただろう? それを最初にくれたのは、萌愛だ」


視線の先には、拓哉さんから池永さんの手に戻った、よつ葉のクローバー。
それは、あの日私が見つけたものだ。


「さっき拓哉が教えてくれた。知ってる? よつ葉のクローバーの花言葉は、『Be Mine』〝私のものになって〟だって」


ずっと憧れ続けた王子様。
オフィスでの〝鬼秀明〟は、まだまだ手ごわいけれど。


微笑んだ瞳が青く燃えて、キスが、息が、深くなる。
その後は——ただ優しくて激しい腕の中に、指先まで溺れていった。




                       《終》

< 253 / 271 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop