イケメン御曹司に独占されてます
その言葉にはっとする。
痛いくらいに張り詰めた横顔を見つめると、池永さんの視線が微かに揺れた。
個人的なことって、まさか……歓送迎会でのこと!?
池永さんはその端麗な外見と頭の回転の速さ、そしてどんなことがあっても動揺しない、その冷静さがトレードマークだ。
そんな池田さんが集中力を欠くなんて。
だけどあの時の池永さんは、見たこともないくらい動揺していて……。
不安と緊張で瞬きもできずに池永さんを見つめる。
するとその端正な横顔が、チラリと視線を移した。
『大丈夫だ』
そんな声が聞こえるような優しい目を、私に向ける。
今の何!?
いつもすごく意地悪な癖に、なんでこんな時に限って……そんなに優しい顔するの!?
我慢できずに、涙が溢れる。
それを見た瞬間、池永さんがまた滝川さんに強い視線を向けた。
「今回のことは完全に僕の不注意で——」
「秀明の個人的なこと……。それはそれは、大層関心があるね」
不意に池永さんの言葉を遮った滝川さんの顔に、微かな微笑みが浮かぶ。
そして次の瞬間、突然緊張の糸が解けた。
滝川さんが大きなため息をついたかと思ったら、私の腕を引っ張って笑顔を見せたからだ。
「こっちにおいで。桜井、この前こちらの専務にもらった美味しいお菓子があったね。このお嬢さんに出しておあげ。……その間、秀明はあっちで打ち合わせするよ。……ふたりとも、今後は気をつけるように」
何が何だか分からないうちに、桜井さんに手を引かれて来客スペースに向かう。その合間にも、池永さんが気になって何度も振り返った。
その視線の先で、こちらを振り返る池永さんが優しげに微笑むのが見えた。