イケメン御曹司に独占されてます
オフィスに戻ったあと、また取引先に呼ばれて慌ただしく出かけてしまった池永さん。


お昼ご飯、ちゃんと食べられたかな。
今朝のあれ、私のことをかばってくれたんだよね……。


いつもの隙のない端正な顔に、今日突然浮かんだ優しい表情を思い出し、なぜだか胸が苦しくなる。
黙り込んだ私に、七海子が心配そうな視線を向けた。


「萌愛、どうしたの?」


「なんでもない……」



今回のミスは、明らかに仕事に集中できていなかった私のせいだった。
滝川さんはああ言ったけど、決して池永さんのせいなんかじゃない。
私のせいで、池永さんに必要以上の負担をかけてしまっている……。



確かに池永さんの指導はとても厳しかった。

間違いがあれば即刻一からやり直しだし、資料一つとっても、どういう視点でどういうやり方でやるか、効率を考えているか、いかにミスを少なくするかを常に考える姿勢が求められていて、いい加減なやり方をした仕事には容赦ない叱責が飛んだ。


正直なところ、ほかの部署に配属された同期の子たちの話を聞くと、ここまで厳しく指導されている部署はなく、『どうして私だけこんな目に』と思ったことは一度や二度ではない。
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