イケメン御曹司に独占されてます
「はー、びっくりよねぇ。まさか秀明さんが会長の孫なんてさ」


七海子が残ったワインを飲み干して、小さなため息をついた。


「そ、だね。びっくりだね……」


突然知った驚きの事実に、短い相槌を打つことしかできない。

池永さんのお母さんと岡田さんのお父さんが姉弟。そして現会長は、ふたりにとってはおばあ様ということらしい。


国内有数の、一流企業の創業者一族。
池永さんは正真正銘、その御曹司だ。

さっきから、衝撃のあまり言葉が出てこなかった。
理由は分からないけど、なぜだか体中から力が抜けるほどのショックを受けている。
元々そんなに親しい理由じゃないけれど、急に池永さんが遠い存在に感じられて……。その感覚は、紛れもなく寂しさだった。


普段、私の隣で真剣にパソコンに向かう横顔も、辛辣なダメ出しをどこかちょっと楽しむような意地悪な瞳も。

いつも手を伸ばせば触れる距離にあったのに、本当はずっと遠くにいる人なのだと分かると——何故だか無性に心細くて、寂しくて。
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