白いオレンジ
放課後になって部活に向かった。
「あっ、稚夏、今から部活行く?」
話し掛けてきたのは同じ吹奏楽部の玲那。
「うん。その前に購買で飲み物買おうと思ったんだけど間に合うよね?」
時間を見ようと携帯を探した。
「あれ?携帯、ない…」
「鳴らそうか?」
「いや、マナーモードにしてるから、鳴らないはず…。
ちょっと教室にあるか見てくる!先行ってて!」
「おっけー!はよきなよー」
急いで来た道を引き返した。
みんな部活に行ったのだろうか。
廊下はもう静かだった。
教室の前まで来て、ドアを開けようとした時、
「ねえ、陽向あー」
甘い女の子の声がして、ドアを引こうとしていた手を離した。