今宵、君の翼で



『翼くんとならね、結婚も認めるよ。美羽のこと本当に本当に大事にしてくれてるんだものね…今日色々あなたたちのこと聞かせてもらって、すごく嬉しかった。美羽、本当によかったね…お母さんと美羽はすれ違っていた時間が長かったから美羽には辛い思いばかりさせていたよね…親の私がもっと早くに対処すればよかったのに。本当にごめんね…でも、素敵な人と出会えたようで安心した。今までの分も幸せになりなさい』


そういった後、今まで笑っていた母の顔が曇っていき、右手で顔を覆った。

肩をふるわせ、泣いているようだ。


『…美羽の結婚式、見たかった…ドレスも一緒に選びたかった。もっと美羽と話がしたかった…街に買い物行ったり、美味しいもの食べたり、旅行に行ったりしたかった。そんな小さな夢も叶うことないと思ったら…』


私も涙で動画が見れない。

入院してから初めて母の本音を聞いた気がする。


『ごめんなさいね…泣かないって決めてたのに泣いてしまって…』


涙を拭いながら笑っている。


その涙を拭っている指が細くて、頬を撫でられた時のことを思い出した。


今でもしっかりと覚えている。


冷たくて細い母の手を。


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