今宵、君の翼で


「もう離れねぇから」


私の顎を掴み、上を向かせられた。


「離さないで…」


次の瞬間、柔らかい唇が私の唇にくっついた。


少し強引で、でも時々優しくて。


翼のキスでまた泣きそうになった。


長く深いキスはまるで酔っぱらった時みたいにくらくらしてきて。


終わったと思えば再び角度を変えて何度もキスしてくる。


波のようだった。


「美羽…これからも乗り越えなきゃなんねーこといっぱいあるけど…ついてきてくれんの?」


「当たり前だよ…私達、もう2人で1つなんだからね…?」


そう言うと、翼の口角が上がった。


「美羽が卒業して落ち着いたら一緒に暮らそう」


「うん…」


絡み合った指が温かくてほっとする。


この先何があっても翼と生きていく。


後悔はしない…


翼となら何があっても怖くない。


帰り、翼と離れがたかったけど次に会う約束をして私達は別れた。




この日の夜はとても良い夢が見れた気がする……。



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