今宵、君の翼で

「え、うん」


突然真面目な顔をするから驚いた。

なんでそんなに焦ってるんだろう。


「なるべくひとりになんな。ひとりになるときは俺んとここい」


「え、でもチームの子周りにいたし……平気だったよ?」


「いーから」


翼が私の肩を抱いた。


「今日とか人数多いし誰が紛れ込んでるかわかんねぇんだから。気をつけろよ?」


「う、うん……わかった」


翼は最初の印象よりも、強くて頼もしい男だった。


そして何よりも私を大事にしてくれてる。


そんな人を裏切れない。


だから今日、浅野さんに会って話そう。

話せばわかってくれるはずだもの。

浅野さんとの関係を終わらせて、隠し事をなくしたい。


私はタクシーで浅野さんの元へと向かった。


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