今宵、君の翼で
「今日は帰ろっか……」
「だねー、眠くなってきたし」
陽菜はシホ先輩に電話していた。
シホ先輩は、うちらの2つ年上の女の先輩で一人暮らしをしている。
その先輩の家に今は陽菜と2人でお世話になっていた。
だけどいつまでもタダで住むのは悪いから、援交したりして稼いでいる。
普通のバイトとかは親の許可が必要だし。
嫌だけど、お金を稼ぐのはこの方法が一番手っ取り早い。
「シホ先輩家に帰ってるけど、友達も何人か来てるっぽいよ」
「そーなんだ、じゃあお菓子でも買ってく?」
「だね。なんか〜男の声もしたけど! イケメンいるかな!?」
「あはは、どーかなー」
陽菜は彼氏に振られたばっかで、これでも一応傷心中だった。
彼氏のことを忘れたいからって、最近は毎晩出かけようって誘ってくる。
オヤジと体を重ねても、忘れられるとは思えないけど……
陽菜は私のチャリの後ろにまたがった。