Heaven~第ニ章~
店長は頭をボリボリと掻いて、


「悪いけど、そうなると椿ちゃんには店……辞めてもらいようなんだよね」

「はい?」

「いやね。椿ちゃんにもお客さんついてるし、評判も良いんだけどね」

「はぁ……」

「ん……ここのオーナーがね。久辺さんのこと毛嫌いしてるんだよ。俺も詳しく分からないんだけどさ……その、椿ちゃんが言ってた誕生パーティー?そこのホテルにたまたま、オーナーがお客さんと居て、お客さんが椿ちゃんに気づいちゃったみたいでさ」


店長はそう言うと自分の机から茶封筒を出してテーブルの上に置いた。


「何ですか?」

「今日までのお給料と、こっちの都合だからオーナーがイロ付けろって、少ないけど貰って」


オーナーは一度店で見かけたことがあった。
キャストの前で店長を"バカ"呼ばわりして、キャストの服装に文句を言って、


「ごめんね。椿ちゃん」


あんなバカオーナーの為に、店長が頭を下げる必要なんてないのに、


「分かりました。今までお世話になりました」


私は立ち上がりその茶封筒を手に、店長に頭を下げた。


言いたいことは沢山あるけど、言う相手は店長じゃない。
あそこでウダウダ言った所で店長を困らせるだけだろうし。


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