流れ星に4回目の願いを呟く時。
 そして、翌日の早朝。実りのなかった帰省が終わり、友枝を後にした。


 高速に乗り込む前に海が見たいと由美子が言うので、途中で2人で海を見た。


 帰って来る途中にも見た夕方の海と同じように、帰りの春の海は凪いでいた。昨夜のどんちゃん騒ぎで疲れていたが、海を見ると、少し楽になった。


 由美子は柵のギリギリの所まで行って、じっとその海を眺めていた。


「そう言えば、私たち、何しにここまで来たんだっけ?」


 海を眺めながらそう呟いた由美子の言葉を聴いて、私は気が付いた。


 ああ、だからか。


 私は何かを思いついていたが、あえてそれを言葉にはしなかった。


「綺麗ですね。海。」


 朝に光る海を後にして、私は未だ雪の残る町へとアクセルを踏み込んだ。







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