流れ星に4回目の願いを呟く時。
 言うまでもなく、その後の私はいとも簡単に泣き崩れていた。まるで、小さな子どものように。


 カケルは私が泣き止むまで、少しオロオロとしながらも、ただじっと黙って待っていた。そして、


「帰ろうぜ」


 私が泣く理由は何も聞かず、その言葉だけを、後ろ姿のまま呟いていた。


 夕暮れの帰り道。既に雨は止んでいた。


 アスファルトの上に、カケルが履いた野球スパイクの甲高い足音が響く。その少し後ろに、彼が水道で洗ってくれた白靴のズチャズチャとたてる鈍い音が続く。初めてのカケルとの帰り道。


 カケルは何も言わず、私の少し前を歩き続けた。私も何も言わず、ただ茜色の空を真っ直ぐ見上げて、彼の後ろだを見つめて歩き続けた。

 彼が、私の前を歩いてくれて本当に良かった。数十分くらいの短い時間だけど、彼の後ろを歩くだけで凄く安心出来て、そして、たまらなく嬉しくて、、、。

 茜色の空は段々と暗くなり始め、田舎道では、小さな淡い街灯の光でさえ、道は明るく照らされて行く。

 もし私が蛍だったら、その感情を押し殺す自信は無かった。














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