流れ星に4回目の願いを呟く時。
「おはようございます。」


 ゆり組の教室は今日も騒がしい。入って早々、ピタゴラスやらノーベルやら、どこで覚えて来たのか、その年齢にそぐわない質問攻めに合う。


 女の子たちはここまでは無いのだが、男の子たちがそんな事ばかりに気が行ってしまっているために、オモチャゾーンがガラ空きで、彼女たちがおままごとセットもそっちのけで海獣ゴッコなどをしているという、実に奇妙な光景が広がっている。


 これを良しとすべきなのか。幸い保護者からの苦情が来ていないことが唯一の救いである。園長にも相談はしてみたが、まあ面白くて良いじゃない、と言うだけ。


 取り敢えず自由時間は自由には違いないということで、おままごとは保育として取り入れていくことになっている。


「ああ、いたいた。おはよう、ゆうかさん。」


 酷い頭痛に耐えながら、男の子たちの執拗な質問攻めの薔薇をどうにか潜り抜け、早退の件を忘れない内に確認する。



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