流れ星に4回目の願いを呟く時。
「見てみて先生。」


 と嬉しそうに子どもたちは、どんどん先へと進んでいく。去年がスキー初体験の私は、未だ前に進んでいるのか、後ろに下がっているのかさえも分からない状態。


 子どもの成長速度に、改めて保護者と共に驚嘆するばかり。


 しかしこのスキー教室。確かに不慣れなものには辛いものがあるが、保護者とのコミュニケーションを取るには絶好のチャンスだ。


 普段のお遊戯会や発表会でもそれはあるのだが、こういう身体を動かしながらの接触は結構有効なものがある。


「ホタル。まだ滑れないの。」


 由美子だ。ことあるごとに自慢の腕前を見せびらかしに来ていた。だが雪国出身とあってか、そのスキルには目を見張るものがある。


「滑れますよ。ほら。」


 強がって滑って見せるのだが、やはり未だ未だぎこちない。


 いつにもましてバッチリメイクをして来た由美子はまるで見下すように、私を笑った。







< 77 / 210 >

この作品をシェア

pagetop