流れ星に4回目の願いを呟く時。
 インストラクターであるお姉さんは由美子の中高時代の同級生らしい。


 どうも馴れ馴れしいなと思っていたら、思った通りだ。急にお酒の話をしてくると思えば、無理も無い。


 この町には日本酒の醸造所がいくつもある。彼女はその中の1つの蔵元のお嬢さんらしい。


 しかし、この町の人で、初対面で冷たい通過儀礼を受けなかったことは初めてだった。それは由美子と園長以来のこと。流石は同級生だ。


「由美子に聞きましたよ。」


 一体何を聞いたのか。ろくなことでは無いことが多い。


「名前、ホタルって言うんでしょ。なんか面白い名前だね。」



 私もなかなか明るい人間であることを再確認していたが、例え歳下だとしても、はじめは敬語を使うのが暗黙の了解。


 どうもペースを握られてしまう。そんな感じだった。


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