私の小さな願い事

長州の人

町外れの廃寺に身を潜めた

このまま江戸に行こう

お金も、何もないけど


ザッザッザッザッザッ

大勢の足音……


やだ……見つかった?


優里が起きないように、背中をトントンする



ギィーーー


殺される……


「先に行ってくれ」


この声


集団の足音が遠ざかる

顔を上げると、桂小五郎


「やっぱり、女子じゃないか
俺は一度見た目は、忘れない
子連れとはな?困ってんのか?
そんなに怯えて……」

「幕府に追われてるの」


「そうか……俺と一緒だな!」


お日様の笑顔


だけど、この人を頼る訳にはいかない


「桂小五郎でしょ?
私は、貴方の敵なの
助けて貰う訳にはいかない」


「ぷっ 素直な奴だなぁ!!
自分から、敵だなんて言うと殺されるぞ?
俺の知り合いってことで、家事とかして
金を作れ!雇ってやる!!
金がたまったら、好きにすればいい
幕府に追われてるんだろう?
屋敷から出なければ、見つからないさ!」


他に頼れる人もいない…


迷っているうちに、立たされ

「言っておくが、男所帯だ
自分の身は自分で守れよ?
訓練してるんだろ?」

「まぁ…してるけど…」

「心配するな、俺の知り合いって言っておくから、手を出す奴は……まあ、気をつけろ」



いるのね……

この人も十分素直だと思うわ


「桂さん お世話になります」

「違うだろ、家事とかして俺達のお世話を
お前がするんだよ!
あ? 名前は?」

「……」

「言えないか?」

「桂さんが、何かつけて」

「そうだな…… 考えておこう」



しっかりしてるのか、適当なのか


よくわからない人



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