私の小さな願い事

さよなら…

「頭、依里です」

「入れ」


開かれる勝手口


「私の恩人です
東宮様に会わせたいの」

桂さんがぺこりと頭を下げた


「いつもの部屋に行け
東宮様をお連れする」

「ありがとうございます」



桂さんといつもの部屋に向かう


「依里…かぁ」

「小桃でいいよ?」

「小桃がいいじゃないのか?」

「だって、小さいってヤダもん!」

「可愛いと思うぞ?」

「猿みたいでってことでしょ」


拗ねて見せると


「高杉を見送ってから、好きな名前に変えればいい」

「いいよ…小桃で」

「小桃がいいって言えよ」

「こものに聞こえる」 

「ぷっ そんなこと気にしてたのか!?」

「桂さん…時々、殴りたい」

「素直なのは、いいが
そんなこと、口にするな」

「はぁーい」



話をしていると

睦仁様がお見えになるやいなや


ガバッ


「見廻り組に家捜しされたと聞いて
心配したのだぞ!!
会いたかったぞ!!依里!!」

「私もぉ!!会いたかったよぉ!!」


私達は、桂さんのことすっかりほったらかしで、抱き合う

あんまりゆっくりしてたら、帰りが心配


「こちら、長州の桂小五郎様です
私の恩人です
この方の計らいで、幕府の敵にならず
新選組に迷惑をかけず、追われず
穏やかに暮らせる道ができました
近く、京を離れます
睦仁様に、お別れを言いに来ました」

「そうか、さみしいが
それが良い!
其方は、隠れてコソコソなど似合わぬし
どこに行っても、其方は居場所をつくることにたけている
体だけは、気をつけよ」

「はい」


「桂、依里が世話になったな
礼を言う
どうか… 依里を守ってくれ」

「はい!
おまかせ下さい!!」


「睦仁様、桂様
世は動きます

お二人に、お願いがございます

どうか…


人が人を殺めぬ世を…

民が笑って暮らせる世を…

お作り下さいませ」


「うむ」

「もちろんだ!」


徳川の世は、終わる

なんとなく…そんな気がしたの

私のなんとなくは、当たる


きっと


この二人が、世を動かす


新しい世を

素晴らしい世を


期待します




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