私の小さな願い事

両想い

なかなか下がらない熱を心配して

桂さんが医者を呼んでくれた


特に大きな病ではないらしいけど


食欲もなくなり


厠に起きるのさえ辛い


水ですら、吐き気の素になった



「桃…」

「…ふぇっく」


苦しくて泣く私をずっと看病してくれる

桂さんに感謝と申し訳ない気持ちが

混ざる



そして…



私は、夢で平助に会った


武士であるために、自ら選んだ道に
背を向けることは、出来なかった

土方さんが、新しい道を作ってくれたけど

その道を進む勇気が、俺には

なかった

新選組と戦って、命を落とすことになったけど

後悔は、少しもない


むしろ、俺の誇りだ


どうか…


俺の分も、生きて…幸せになって欲しい









私の熱は、下がった


多分、平助が治してくれたんだ




桂さんに不思議な夢の事を話した


「桃は、皆に愛されているのだな
明日、新選組に行こうか」

「桂さんも来てくれるの?」

「ああ 土方と話をしたい」






翌日



久しぶりに動かす体が、すごく痛い

「大丈夫か?」

「なんとか…」

ぎこちない歩き方を笑う

「ほら、足元気をつけないと転けるぞ!?」

「ぎゃっ!!」

言われてすぐ躓くとか、鈍くさい

「ついてきてよかったな
顔面が、崩れるところだ」

受け身を取れず、顔から地面に突っ込んでいるとこを、受け止められた

「へへっ ありがとうございます」


門番に藤原が土方に会いに来たと伝えると
すんなり入れた


客間に通され、歳三を待ってると

ダダダダダダダダ…

「依里!!うぉーー!!本物だ!!!」

ガバッ

新八が飛びついて来て

「お前、おまさんとこ遊びに来いよ!!」

左之に頭をグリグリされて

「こら!!依里は、俺のだ!!」

勇に抱っこされる


笠を外した桂さんが、少し呆れて笑う

「思った以上の溺愛だな クククッ」

「うわっ 桂小五郎だったのか!!」

「今日は、付き添いだ
大目にみてもらいたい」

「桂さんわ捕まえないで!!」

「なんで、俺の客なのに皆が先にきてんだ?
つうか、俺も桂に用があった」


歳三の登場により、追い出され

部屋には、三人だけ


「依里… 平助のことなんだが」

「それは、平助から聞いた」

「は?」

「聞いてるから説明いらないということだ」

「それで…決断したのか?」

「体調不良で、寝込んでて
考える余裕なくて…へへへっ」

「とりあえず、回復したことを伝えたくてな
この通りだ」

「あれから、ずっと寝込んでたのか?
もう、大丈夫なんだな?」

「うん!桂さんがずっと看病してくれたの!
ね!!」



「すまないが、少し休ませたい
布団を借りられるか?」

「ええ?眠くないよぉ」

「無理すんな!俺の部屋で寝てろ!」

「…ハイ」


とぼとぼと、歳三の部屋で横になる

歳三のにおい


疲れてたのね…


すぐにうとうとした






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