私の小さな願い事
~依里~



慶喜様と歳三が部屋を出てから

少し桜のにおいを嗅ぎたくて

廊下の方へ


突然、真っ暗闇からチカチカッと

ものすごい光が

眩しさと同時に、頭痛がして

後ずさり、多津に座らせて貰った



前に新選組で感じたあの痛み


あの時、どうして治ったんだっけ



痛みに悶えていたら、左手を切ったらしいけど、頭痛の方が痛い

頭が割れている気がする

右手で頭を触るけど、裂け目はない

バタバタと走る音が床に響く

こんなに大きい足音は、歳三ね


歳三は、薬屋の息子だから

患者の扱いが優のように上手


だんだん、少しづつ

痛みが和らぎ、力を抜けるようになった




ドクン ドクン ドクン



???



歳三の胸の音?

それとも、私?


聞こえる……

音が……



歳三の音



歳三…








私は、限界だった

そばにいるであろう慶喜様に

心配しないでって

手の怪我は、私がしたことで、多津を責めないで欲しいって


言いたくても


そんな力がなかった













優… 桜は、今…何分咲き?



ねえ?



優…


会いたいよ……



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