恋の相手は強引上司

嵐の前触れ

生まれてからこの28年間、恋愛経験が皆無だった私に訪れた恋は

まるで漫画やドラマの様でみんなが時間をかけていろんな経験をしていく中で

私の場合は全ての初めてが高速だった。

気持ちは助走からのスタートだったけどね、一馬の事を知って

気持が加速して今では自分でも驚くほど速足になった。



「明日は早く上がれそうだから晩御飯、鍋でもしようか?」

「鍋ね~~うん、鍋にしよう~~あっ!」

「なに?」

「うち、一人鍋しかなかった」

肩をすくめる私に一馬は頭をわしゃわしゃしながら

「食材と一緒に大きめの鍋も買いに行こうか?」

「・・・・うん」

って・・・・他人が見たらドン引きしそうなベタな会話を楽しんでいる。

でもしょうがないじゃない。

楽しいんだもん。

ちょっと前まで信じられるのは仕事と金だと思っていたのが

嘘のようだ。

一馬のロス支店の時の部下であるテレサさんが仕事で日本に来たのだが

タバコの煙が苦手でホテルに泊まれないという事で

一馬が自分のマンションを提供した。

そして一馬はというと一度は荷物を取りにマンションに戻ったが

その日の夜にはスーツケース持参で私の2DKのマンションにやってきた。

テレサさんが帰るまでプチ同棲

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