恋の相手は強引上司
売り場に戻る人たちがすれ違いざまに「おめでとう」と

温かい言葉をかけてくれて頭を何度も下げていた。

すると

「あのバカあれこそ公私混同じゃねーか・・・・なあ~真壁ちゃん?」

聞き覚えのある声に横を向くとそこには西村課長が立っていた。

「課長・・・・どうしたんですか?」

「ん?真壁ちゃんとの事を報告するからってさっきメールが来たからさ、
おもしろそうだから見に来たんだよ!」

「ええ?」

「でもさ~あいつ相当真壁ちゃんに惚れてるね。普通あんなこと社員の前で
言ったりしないよ。ほとんど事後報告だろ?あいつのモテっぷり半端なかったから
真壁ちゃんがそのことで不安になってるのを心配していたしね。
ま~~あいつなりに安心させるための方法だったんだろうな」

私が思っている以上に一馬は私の事心配してくれてたんだ・・・・

「・・・自分に自信がなくて周りの目が気になってどうしても全てを委ねることに躊躇していたんです。
そんな私のために彼が行動に移してくれたんです」

「…うんうん。で?どうだった?」

本当に私でいいの?一緒に歩いてて恥ずかしくないの?

私のどこがそんなにいいの?

そんなネガティブな思いが常にあった。

だから結婚したいと言われてもうれしい反面素直になれなかった。

だけど・・・・みんなの前で話をする一馬の姿を見たら

自分はなんてくだらない事で悩んでいたんだろうって気づかされた。

素直になればいいんだって気づかせてくれた。

「もう怖いものはないです。今度は私が彼をもっと幸せにしたい・・・そう思います」

「その言葉・・・・ちゃんとあいつに言ってやってね」

「はい」

そういうと西村課長は私に伝票を差し出した。

「堤様から真壁ちゃんに任せるからネクタイ2本とネクタイピンとカフスのセットよろしくって
昨日注文があって午後に届けるから・・・開店前で悪いけどよろしく。」

というと私の肩をポンとたたいて

そのまま一馬の方へ・・・・
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